
CASE STUDY
ブランディングで授産品の価値を高めたい
-福祉授産施設の商品ブランディング-
課題
西日本最大級の介護福祉施設 社会福祉法人愛和会様(大阪府豊中市)には、障害者に働く場を提供する通所授産施設「あすなろ」があります。あすなろでは、練り、裁断、乾燥などの工程を障がい者が行い、2003年から讃岐仕込うどんを生産してきました。日々こつこつとうどんを作り続けているうちに、安心安全でおいしいという評判が立ち、少しずつ売上も上がってきました。原材料費を差し引いた全収益が障がい者の工賃となるため、「知名度やブランド価値が上がれば、もっと売れるはず。障がい者をもっと経済的に補助したい」「受賞をきっかけに、授産施設でも一般企業に負けない世界に認められる製品をつくることができると社会に認知してもらいたい」…そんな思いで世界的な総合食品コンテスト「モンドセレクション」にエントリーすることになりました。

ブランディングのあらまし
相談を受けたオレンジフリーでは、エントリー用のブランド資料作成をサポートしました。ヨーロッパではなじみのないうどんなので、純粋で澄んだ日本らしい美味しさが伝わるようなビジュアル表現を心がけました。ブランドの最大の価値は、障がい者の自立支援であり、添加物を一切使用せず、味覚・食感の優れた食品をつくり、品質管理、安全性、清潔を維持する、豊富な調理バリエーションなどをアピールしました。

社会医療法人愛仁会会長・根岸宏邦氏とブランドストーリーの打ち合わせ。
Message
社会医療法人 愛仁会 会長/社会福祉法人愛和会 総施設長
医学博士 根岸宏邦様

われわれ社会福祉法人愛和会は、高齢者部門・障がい者部門・保育部門を社会福祉事業として運営しています。これらの事業を円滑に運営し、利用者の皆様にできるだけ満足していただくためには、地域の方々や諸団体、行政機関などとの協調や連携が大変重要です。そのため、地域のいろいろな情報を私たちが知る必要があると同時に、私達の事業内容や方針などを地域の多くの人々に知っていただくことが是非重要です。モンドセレクションへのエントリーは、それをさらに地域から世界に向けた発信でした。オレンジフリーさんには各種広報活動や価値を高める表現方法を考えていただいていますが、デザインも美しくなかなか好評です。大変ありがたく思っています。
ブランディングの成果
世界73カ国、737社の2200品目がしのぎを削る中、「あすなろ麺」はモンドセレクション2009シリアル部門金賞を受賞しました。イタリア・ヴェネツィアでの授賞式には2名の授産メンバーとその家族も出席しました。受賞の際には「この賞は障がいを持って働いてきた彼らにとって、とても重要で価値のあるものです」と特別なコメントも頂戴し、場内が割れんばかりの拍手の渦に包まれました。以降連続でモンドセレクション金賞を受賞しています。授産メンバーは自分たちの仕事に自信と誇りを持ち、働く喜びや意欲を感じるようになり、サポートするあすなろスタッフの胸にも自信と誇りが宿りました。またオレンジフリーでは、ブランドブック制作を担当させていただきました。読む人に授産メンバーの努力が伝わり、障がいを持つ人もそうでない人も共に心地よく暮らせる社会になればいいなと願っています。



あすなろ麺は、社会福祉法人 愛和会様の
多機能型事業所あすなろでつくられています。
ここでは、心身に障がいがある方たちが
お互いに協力して、
自立した生活を目指して働いています。
2009年、あすなろ麺、モンドセレクション金賞初受賞。
ヴェネツィアの授賞式会場に臨む私たちを迎えてくれたのは、
「社会福祉法人愛和会、あすなろ麺」の
コールと特別なメッセージ。
「この賞は、障がいを持って働いてきた人達にとって
とても重要で意味のあるものです」
会場はとびきり大きな拍手につつまれました。
この日の感激を私たちは忘れません。
障がい者施設でも一般企業に負けない、
世界に認められる製品を作ることができる。
「あすなろ」で働くメンバーは、
毎日毎日、喜びと誇りを持ってこの麺をつくり続けています。

- 社会医療法人 愛仁会 会長・社会福祉法人愛和会 総施設長 : 根岸 宏邦
- 豊中・高槻エリア : 〒561-0872 豊中市寺内一丁目 1番10号
- 宝塚エリア : 〒665-0874 宝塚市中筋二丁目10番18号
- http://www.aijinkai.or.jp/aiwakai/