吉田 ともこ
株式会社オレンジフリー 代表取締役
京都女子大学文学部国文学科卒。大手広告代理店のコピーライターを経て1987年創業。
体系化されたブランディングの手法を取り入れ、企業内に入って経営陣をファシリテートしながら ブランド構築を行うコンサルタント。
依頼者が問題の核心に気づくヒアリング能力と仮説設定能力の高さが強み。
また「同業にアイデアは落ちていない」と異業種のアイデアを応用し、新発想でクラ イアントの突破口を開く。
2008年以降のブランディング実績は110社を超え、東証一部上場の大手企業 から中小企業まで幅広い。
メーカー、商社、ホテル・旅館、飲食、工務店、士業、行政、医療福祉、 フランチャイズ、商品など、様々な分野で成功事例を頻出。
「社員をホンキにするブランド構築法(同文館出版)」 「活力経営の原点を探る(フジサンケイビジネスアイ)」等で紹介され、「2015年第1回ブランディング事例大賞」受賞。
講演・執筆も多数。
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立花 佳代氏
(株)スプリング 代表取締役
ロンドン留学経験を生かし、売れる商品を探して世界中で仕入れを行い、神戸三宮の雑貨店で販売し大ヒットを連発。
1999年、法人化。商材をアクセサリーに絞った。
持ち前のセンスと商売の勘で順調に発展。海外に太いパイプを作り、韓国、インドでの生産体制を整備。
足掛け10年でインド生産を軌道に乗せ、インドの貧しい村に継続的に仕事を発注していることが、
モディ首相の「Make in INDIA」の国策に合致し、BBCに取材された。「Empowerment」平等で公平な社会を実現するという
ブランドの社会貢献性と実績が評価され、「2015年第第1回ブランディング事例大賞」を受賞。
「新しい価値を持つアクセサリーを創造し、アクセサリーの力で女性の暮らしと人生を豊かに変えていく」という経営理念のもと、
独自の世界観を発信している。
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小池 玲子氏
クリエイティブハウスR-3 代表
東京芸術大学美術学部工芸科 VISUAL DESIGN 卒業。
外資系広告代理店で30年以上に渡り活躍し、J.Wトンプソンジャパン広告制作担当 取締役副社長、
アメリカ最大の広告代理店FCB広告制作担当副社長、ヨーロッパ最大の広告代理店 パブリシスジャパン広告制作担当副社長などを歴任。
「スイートテンダイヤモンド」のキャンペーンで、日本中にブームを巻き起こし、
ハーゲンダッツの日本上陸戦略では子供の食べ物だったアイスクリームを大人の恋のスイーツにチェンジ。
また日本人に水を買って飲む習慣を根付かせるなど、日本人の習慣を変えるという難題を成功させてきた。
カンヌCM フェスティバル銅賞、ニューヨークADC賞、ACC賞ほか受賞多数。
日経広告賞コーポレートブランド広告賞審査員・(財)ブランド・マネージャー 認定協会 評議員。
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阪本 啓一氏
(株)JOYWOW 代表取締役
大阪大学人間科学部卒。経営コンサルティング会社(株)JOYWOW創業者。(財)ブランド・マネージャー 認定協会 評議員。
ブランドを中心にコンサルティングしている。メールやウェブなどネットを使ったブランディング&マーケティングが出発点。
クライアントは製薬、IT、食品、産業資材、アパレル、建築、証券、商工会議所など多彩。
理論ではなく「人として向き合う」コンサルティング姿勢を身上とする。自らも起業した経営経験からのアドバイスにファンが多い。
「大阪をシリコンバレーにする!」ビジョンのもと、私塾MAIDO-internationalを主宰。
主な著書に『繁盛したければ、「やらないこと」を決めなさい』『「たった1人」を確実に振り向かせると、100万人に届く。』
(日本実業出版社)『ブランド・ジーン 〜 繁盛をもたらす遺伝子』(日経BP社)『共感企業』(日本経済新聞社)など多数。
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森 健太郎氏
ベンチャーサポート税理士法人 副社長
神戸大学経営学部卒。
上場企業の生涯年収ランキング第1位、
株式会社キーエンスの営業職で骨の髄まで厳しさを叩き込まれ、「働くとお金と幸せ」について考えるようになる。
個人の税理士事務所で3年修行し、税金の計算だけをする従来型の税理士業に限界を感じ、
ベンチャーサポート税理士法人の草創期に合流。起業家支援をモットーにする税理士事務所として、税金の計算や会計のみならず、
人材育成や財務分析等の経営管理全般を提供するコンサルティングサービスを構築する。また集客責任者としてネットマーケティングを研究し、
税理士業界でいち早くインターネット集客をスタート。13年で9,000社の起業支援を達成。
数百の起業と廃業をリアルに目にし、「成功する会社と失敗する会社の違い」「世の中の流れはどこに向かうか」を常に考えている。
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パネルディスカッション
スプリング様の事例から社会とビジネスを変革させる2テーマを抽出し、
3人のパネリストの視点を生かしたディスカッションを行いました。
テーマ1
業界の垣根の消失「個人が台頭する時代」
写真を撮り、すぐにネットにアップしてモノを売ることが技術革新によって誰にでも可能になりました。
ミンネ、メルカリ、ヤフオク...1億総お店やさんという状況が生み出されています。
よって個人の副業ビジネスが著しく増加し商流も変化。個人の介入により業界の垣根が喪失している現状は、
我々のビジネスにどのような影響を与えるのでしょうか?
「主婦がアクセサリーを売ってビジネスになるという社会の土壌ができてきていることを強く感じる」という森氏は、
2003年当時税理士をインターネットで探す習慣がないところへ、その市場を作ったという自社の戦略を披露しました。
「鮮度と温度を届ける着眼、不便に感じているものは何?」という発想が新たなビジネスを生み、「会社なら無理でも個人ならすぐに営業に行ける」と個人のビジネスの可能性を阪本氏は語りました。
小池氏は、個人の不満と結びついたビジネスとしてAmazon.comのお坊さん便を紹介し、
既存の体制に辛抱してきた人たちが新しい流れとなっていることや、
個人を突き動かす満たされない感情が新しいビジネスを作りだしているという興味深い話を展開しました。
スモールビジネスも束になってかかってきた時、脅威に変わります。
この流れは間違いなく加速し、大手であっても影響を受けるでしょう。
コアな価値に新しい技術を掛け合わせると言うのが生き残るヒントになる。
どのような環境下でもコーポレートブランドが立っている企業は強く、消費者・顧客に選ばれる存在として残ります。
テーマ2
環境変化とブランドの寿命
変化の激しい時代は競争ルールがすぐ変わるので、既存ブランドに固執しすぎてはいけないのでは…という問いに対して、
「ブランドはある社会的使命を帯びています。時代の変化と共に役目が終わります。
やめたらいいというのが僕の考えなんですが、長寿企業を観察していると変化の達人です。
提供価値を変化し続け、毎年新しいことに挑戦し続けることが必要です。コアな価値×新しい技術!」
と阪本氏はヒントを語りました。
一方、小池氏は、近畿地方の大手スーパーのほとんどで販売しているカステラの長崎堂の事例で論を展開。
「アッパーブランドの「黒船」、「然花抄院」、「ギャラリーSUGATA」など、
この企業の凄さはブランドを増やすことによってターゲットを変えていき、
より多くの消費者にアクセスできるようにしていったことです。ダイヤモンドのカット(ファセット)のように、
これからの企業は一つの面だけでなく、幾つかのファセットを持つことで環境変化に対応することが必要です」と語り会場を引き込みました。
さらに森氏は、「会計的に見ても3つの柱となる事業ブランドがあると安泰というのが私の考えです。
ブランドに寿命があるとしても、3つ事業ブランドがあれば1つがアウトになっても他の2つで回せます。
次の準備もできます。ブランドポートフォリオという考え方ができると思います」と
会計の専門家らしく説得力のある話に参加者は深く頷きました。
コーポレートブランドをしっかりと構築すること。その下に紐づく商品ブランド・サービスブランドは寿命を永らえるためには環境変化や消費者動向を見て変化させていくことが重要です。場合によっては「やめる」という決断が必要かもしれません。